はじめに:アプトの道とは?
群馬県安中市にある信越本線の旧アプト式鉄道の廃線跡を利用した遊歩道です。
約6㎞のコースには、旧丸山変電所や6つの橋梁、10の隧道(トンネル)、そして有名な「めがね橋」など歴史的な鉄道施設が多数残っており、鉄道遺産を間近に見ながら自然豊かな峠の風景を楽しめるハイキングコースになっています。
今回はアプトの道の「碓氷峠の森公園〜旧熊ノ平駅」までを往復で歩いた体験談をご紹介!
実際に歩いたからこそわかる情報をシェアします。
アプトの道の基本情報(碓氷峠の森公園〜旧熊ノ平駅)
全体概要
- 所要時間(往復):約2~2.5時間(往復約6,8km)
- 難易度:初心者OK、舗装あり
- 開催期間:通年(冬場は要注意)
アクセス方法
- 車:松井田妙技ICから約15分、無料駐車場あり
- 公共交通:信越本線横川駅から徒歩(アプトの道) or 碓氷峠鉄道文化むら園内にあるトロッコ列車(ぶんかむら駅~とうげのゆ駅)
出発地点:碓氷峠の森公園
群馬県安中市にある総合リゾート施設。

奥に見えるアーチ形の橋は「峠の湯」入口。手前は駐車場。
広大な敷地の園内には、日帰り温泉「峠の湯」・レストラン・カフェ・キャンプ場などが揃っている。
また、鉄道遺構が残るアプトの道やトロッコ列車の乗車駅「とうげのゆ駅」も備えていて、観光拠点としても楽しむことが出来ます。
ハイキングコースの見どころ紹介
① めがね橋(碓氷第三橋梁)1893年(明治26年)~1963年(昭和38年)

歴史的背景(明治時代建設、レンガ造りアーチ橋)
国内最大の煉瓦造りで全長約91m、川底からの高さは31mからなる4連アーチ橋におよそ200万個の煉瓦が使用されています。
この橋は、碓氷峠を越える鉄道の重要施設であり、急勾配を克服するためにアプト式鉄道の区間として使われました。
完成直後には強度不足により補強工事が行われ、その後1963年(昭和38年)まで使用されました。
現在は、旧信越本線の廃線跡を利用した遊歩道「アプトの道」の一部として観光名所になっています。
写真スポットのベスト角度
そして写真スポットのベストエリアは、橋の斜め下から見上げる現地案内板あたり。
実はアプトの道から階段で橋の下まで降りられます。
ぜひ橋の下から見上げてみてください。200万個からなるレンガ造りアーチ橋の迫力は圧巻ですよ。

橋の上の見どころ
橋の上を歩く際は、ぜひ一度立ち止まって周りの景色を見てください。
周囲が山々に囲まれていて、いかに険しい所に旧信越本線があったか実感できますよ。

② トンネル群を抜ける
いくつも続くレンガのトンネル(1号~10号)
夏場でもトンネル内はひんやり!列車が走っていただけあって、トンネル内は道幅は問題なくすれ違い可能。
ライトは不要でトンネル内は適度な照明あり。(不安な方は小型ライトあってもいい)

5号トンネル内。等間隔に電燈があり歩くには問題ない
通るとひんやり!ライト不要?注意点
トンネル内の照明は18時には消灯してしまうので、夜間の散策は不可。
冬場などは標高が高いので凍結の恐れあり。
③ 当時の遺構や看板の説明
刻印(各トンネル)
日本煉瓦製造株式会社製造の刻印。目線の高さぐらいに結構あるので見つけやすいかも。

蒸気機関車が排出したススの跡(各トンネル)
蒸気機関車の運転が28年間続いたので、ススがたまっている。ちなみに写真は白黒ではないよ!

排煙幕取付金具(各トンネル)
機関車や客車に煙がいかないように、幕を付けて空気の流れを止める役割。

煉瓦メジ(各トンネル)
山形メジ・覆輪メジがあり職人によって違いがある。


要石(5号トンネル)
アーチ積みの最後に積んで、架かる力を分ける役割。

横抗(6号トンネル)
長いトンネルの為、工期を短縮するため横から左右に掘り進めた。

アーチの迫石(6号トンネル)
坑門の迫石は強度の面よりも、装飾の意味合いが強いらしい。

旧熊ノ平変電所
昭和12年輸送量増大に伴い、高性能の水銀整流器が備えられた。

碓氷嶺鉄道碑(旧熊ノ平駅)
碓氷線の計画や工事の様子が刻まれている鉄道碑最古のものらしい。

④ 旧熊ノ平駅 1893年~1997年
廃駅の静けさ、駅跡の様子
駅周辺は山に囲まれているが平坦になっていてかつての蒸気機関車が往来してる賑わいはなく、静かに時がたっている様子。
鉄道遺構は現在も残っていて、アプト式の電力供給していた変電所・列車交換の為の突っ込み線なども見ることが出来ます。

駅跡と思われるところは、石碑や熊ノ平駅の成り立ちなどの説明書きがある。
ベンチ・トイレ・休憩可能?
周辺での休憩は可能で、熊ノ平神社前にある木製の長ベンチが3~4基があるが常に人が座っている状態。
公衆トイレは旧熊ノ平駅から少し階段を下り、旧国道18号線にある市営駐車場にあります。徒歩3分程。

折り返し地点の目安
折り返し地点の目安は季節にもよりますが、冬場はとくに日暮れも早いし、何より観光客も少なくなってトンネル内を歩く際に心細く感じるから、余裕をもって14時ごろにはUターンを推奨。(今回は12時ごろUターンしてます。)
実際に歩いて感じたこと
所要時間と疲労感
所要時間はタイムスケジュール通りで、往路・復路で多少タイムは違いますが、大体往復2時間程かかります。
その他見どころの、めがね橋・旧熊ノ平駅・鉄道遺構などをゆっくり見学するとプラス時間かかります。
疲労感は、歩きなれている人であれば問題なく歩けて少々物足りないぐらい。
普段運動していない人でも、ちょうどいい疲労感が味わえると思われる。
靴や服装のおすすめ
ズバリ普段履き慣れている運動靴と動きやすい恰好ですね。
あくまでも整備されたハイキングコースなので、登山用の装備は必要ないと思います。
季節ごとの注意点(夏の暑さ、紅葉、冬の凍結など)
季節ごとの注意点は、今回残暑が残る季節に行きましたが、飲み物・行動食は必須です。
ハイキングコース途中には、売店・自動販売機などがなく途中で買い出しが出来ませんので注意。
秋には紅葉が見ごろを迎え、観光客が押し寄せてくると予想できるので、早めのタイムスケジュールで行動することをお勧めします。
冬はトンネル内などの凍結や日没時間が早いのが心配ですので、なるべく避けた方が良い季節かもしれません。
おすすめのハイキング季節は春・夏・秋の3シーズン!
周辺情報&観光スポット
日帰り温泉施設の「峠の湯」
エントランスはめがね橋の煉瓦造りのアーチを模しており、施設内には大浴場や露天風呂、個室付き家族風呂、レストランなどが充実している施設。
碓氷峠鉄道文化むら
体験型鉄道テーマパークで1999年に開業。
園内には鉄道資料館や鉄道展示館、屋外展示場があり、実際に使用されていた電気機関車・蒸気機関車などやアプト式の歴史も学べる貴重な車両が並んでいます。

宿泊するなら?アプトの道に便利な宿泊先3選
横川駅周辺
横川駅周辺・安中市内は宿泊施設の数があまりなく選択肢が少ない。
ただし、アプトの道周辺を散策、観光するには近い立地にあるので、空いていたらぜひ宿泊があすすめ。
軽井沢方面
軽井沢方面は峠越えがあり少々距離があるが、宿泊施設が充実しているのがイイ!ただし全体的に価格が高めの傾向。
安中市内
今回著者が実際に宿泊した宿は、安中市内の霧積温泉金湯館。
峠の湯から車で約20分
山奥にある歴史ある一軒宿の温泉旅館。
静かな環境で良質な温泉が堪能でき、明治時代から多くの政治家や文化人などが訪れていることでも有名。
温泉好きにはたまらない宿でしたので、詳細は次回以降の記事でご紹介したいと思います。
霧積温泉金湯館の空室・料金を確認する。
まとめ:アプトの道はこんな人におすすめ!
- 歴史・鉄道・自然が好きな方
- 一人旅や家族連れの週末ハイキングに
- 写真映えする場所を探している人
実際に歩いて感じた魅力は、「静かさとロマン」でした。
ぜひ、自分の足で歩いてその空気を感じてみてください!
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